時効の計算の方法

文責:所長 弁護士 岩崎友哉

最終更新日:2024年05月09日

1 債務の消滅時効の計算について 

 民法の改正によって、令和2年4月1日以降に発生した一般債権(その原因となる借り入れ等の法律行為も令和2年4月1日以降である場合)の消滅時効ついては、民法によって次のように定められています。

 

 【参考条文】

 (債権等の消滅時効)

 第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

 一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。

 二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

 

 貸金業者等に対する債務(貸金業者等から見た債権)については、実務上は、弁済期を過ぎた時点で貸金業者等は権利を行使することができることを知りますので、弁済期から5年間で消滅時効が完成します。

 なお、令和2年4月1日以前に発生した債務で、個人や、会社組織ではない信用金庫や日本学生支援機構などからの借入れに基づくものについては、弁済期から10年経過しないと消滅時効が完成しないので注意が必要です。

 また、確定判決また確定判決と同一の効力を有するものがある場合、例外が定められていますので、後述します。

2 消滅時効の起算点と満了点について

 消滅時効を含む、期間の起算点と満了点については、次のように定められています。

 

 【参考条文】

 (期間の起算)

 第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

 (期間の満了)

 第百四十一条 前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。

 (暦による期間の計算)

 第百四十三条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。

 2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

 

 消滅時効についてみてみますと、年によって期間を定めたときは、原則として期間の初日は算入しません。

 例外として、期間が午前0時から始まるときは、期間の初日から起算します。

 そして、消滅時効の期間を年の初めから起算しないときは、その期間は、最後の年においてその起算日に応当する日の前日に満了します。

3 確定判決また確定判決と同一の効力を有するものがある場合

 判決で確定した権利の消滅時効が完成するまでの期間については、別途次のように定められています。

 

 【参考条文】

 (判決で確定した権利の消滅時効)

 第百六十九条 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。

  2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。

 

 判決や、裁判上での和解を有している場合には、消滅時効の期間が変わりますので注意が必要です。

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