家賃の時効に関するQ&A
Q未払いの家賃には時効はありますか?
A
未払いの家賃(賃貸人からみた債権)も時効によって消滅します。
家賃は、いわゆる定期給付債権と呼ばれるものであり、民法改正前、民法改正後いずれにおいても時効によって消滅する債権とされています。
正確には、消滅時効完成後に、消滅時効の援用をすることで、未払いの家賃を支払う債務は消滅します。
Q家賃は何年で時効になりますか?
A
未払いの家賃は、民法改正前、民法改正後いずれにおいても、支払期から5年間で消滅時効が完成します。
【参考条文】
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
Q家賃の時効はいつからカウントされますか?
A
家賃の時効期間は、各支払期から起算されます。
例えば、賃貸借契約において、毎月決まった日までに家賃を支払うことになっている場合、その毎月の支払日が家賃の時効の起算点となります。
月払いの家賃の場合、毎月債務が発生することになりますので、各月分の家賃はそれぞれの支払日の5年後から順次時効によって消滅していきます。
Q家賃の時効援用ではどういった点に注意する必要がありますか?
A
⑴ 賃貸人は、時効の更新のための承諾書の交付を求めることができます
賃貸人(大家さんなど)は、賃借人から未払賃料の存在を確認する承認書を作成してもらうことができ、時効を中断することができます。
承諾書がある場合、承諾書作成時点から5年間は未払いの家賃の消滅時効の援用はできません。
【参考条文】
(定期金債権の消滅時効)
第百六十八条 定期金の債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
(第1項省略)
2 定期金の債権者は、時効の更新の証拠を得るため、いつでも、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。
⑵ 確定判決また確定判決と同一の効力を有するものがある場合
未払いの家賃を請求する訴訟が提起され、確定した判決が存在する場合や、裁判上で和解をした場合、そこから10年の時効期間が改めて進行することになります。
【参考条文】
(判決で確定した権利の消滅時効)
第百六十九条 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。